ISSEY MIYAKE市政ブティックは、台湾・台中市の開発が進む街区にある。高層ビルの1階にBAO BAO ISSEY MIYAKE、2階にHOMME PLISSE ISSEY MIYAKEが入り、両者が内階段でつながる構成となっている。BAO BAO ISSEY MIYAKEは、三角形のピースが集合し、自在にかたちを変えるバッグ。商品が職人の丁寧な手仕事から生み出されていることから、日本の伝統的な金工技法の一つ"鎚起"に着目し、1枚1枚鎚起を施したアルミニウム板を壁や棚に用いて、モダンさの中に職人のスピリットをじわりと感じさせる店舗デザインを行ってきた。この店舗も同様のデザインだが、広い窓を介して街の風景が重なるように設計し、自然光を積極的に取り入れて居心地を高めている。HOMME PLISSE ISSEY MIYAKEは、プリーツ技術を用いた軽く、快適で、しわにならない高機能なメンズ服。店内は、漆黒に染色した杉材に浮造りを施して仄暗さと重厚さをつくり、男らしさと服の軽さを引き立てるデザインとした。どちらの空間も日本の伝統的な技法を駆使した素材使いで、イッセイミヤケが日本のブランドであることを強調している。そして、上下階をつなぐ階段には、台湾で採掘される蛇紋石を用いた。台湾蛇紋は、蛇紋岩という種類の岩石で濃淡様々な緑色が美しく、以前から台湾の街中で目にするたびに、その上品さに魅了されていた。この店舗において、蛇紋岩の存在が上階への意識を高め、上下階の結びつきを強固のものにしている。何よりも、台湾の地域性を違和感なく取り込めたことに意義を感じている。
2018
クライアント : 株式会社イッセイミヤケ / TAIWAN GIVEN CO., LTD.
写真 : 荒木文雄