LOFTは日本発の生活雑貨チェーンである。タイ・バンコクのICONSIAM店では、空間デザインとサインデザインを境目なく同時に設計することで、商品へのアクセス性を高める施策そのものが空間の視覚的インパクトとなり、機能が体験を導く新感覚の売場を創出している。天井に浮かぶハサミ、時計、クリップ、スマートフォンケースなどの巨大なアイコンは、LOFTの商品を抽象化したもの。商品が置かれたゾーンがひと目でわかるカテゴリーサインとして機能すると同時に、シャープな光を放つ照明器具として空間を照らす。店内中央には、黄色いアイコンが噴水状に広がる象徴的なツリーオブジェを、天井のアイコンに呼応するように設計した。「365 Everyday LOFT」のコンセプトに即して365種類のアイコンをデザインし、LOFTの圧倒的な商品バラエティを視覚化。フォトスポットとしての賑わいを引き出した。空間設計とサイン計画が重なる従来の設計プロセスを見直し、サインの機能を意匠として統合することで生まれるシームレスな空間が、LOFTでの新たな発見体験を創出している。
2018
クライアント : 株式会社ロフト / Siam Speciality Co., Ltd.
写真 : 荒木文雄