MOMENT

"Frying in Gold"

1977年より藤沢市善行で地元の方々に愛され続けてきた揚げ物屋「ビーバー」。多種多様な食品を注文ごとに揚げ、熱々をスナック感覚で楽しめるこのお店は、地域の人々に長年親しまれてきた存在である。建物の老朽化に伴う閉店のニュースは話題となり、それを知った地元出身の男性が事業を継承し、リニューアルオープンした。MOMENTは、店舗デザイン、ロゴ、メニューボード、スタッフユニフォームのクリエイティブ・ディレクションを担当。「何でも揚げる!」というビーバーの個性を最大限に引き出し、これまでの「揚げ物屋」から、より実験的で多様な揚げ物体験を楽しめる「揚げ物ラボ」へと進化させた。外装は「油」を象徴する黄色ガラスで覆い、店全体を揚げ物のように黄金色に輝く外観に。床と壁を黄色でまとめ、スケルトン天井はキツネ色に塗装し、揚げ物の香ばしさを視覚的に感じさせるデザインとした。厨房のフライヤーを客席の近くに配置し、揚げる音・香り・温度を五感で体感できる空間となっている。さらに、オーナーが行う障害者支援事業の理念を設計に反映。厨房と店内の見通しを確保し、シンプルで分かりやすいスタッフ動線とすることで、誰もが働きやすく地域の多様性を支える空間としている。外壁の看板は、移転前の親しまれたデザインを忠実に復元し、昔と変わらぬビーバーの存在を伝え続けている。

ビーバー

2021
クライアント : 社会福祉法人 喜寿福祉会