成都の中心部に位置するSino-Ocean Taikoo Li Chengduは、1600年以上の歴史を持つ大慈寺(Daci Temple)を囲むように低層で建造された、情緒が漂う複合施設である。敷地内には伝統的な中庭や建物が保存・復元され、紡がれてきた時間が今に受け継がれている。この歴史ある土地に調和し、店舗と周囲の環境が互いの特徴を引き立て合う空間を意図した。成都は古くから良質な土が採取される焼物の産地として知られており、当時から煉瓦は多くの建造物に用いられてきた。ここでは役目を終えた建物から採集した「古磚」と呼ばれる侘びた煉瓦を店舗の主要素材として再利用した。ガラス張りの開放的な外観を一度煉瓦で囲い、所々に設けた開口によって内外の繋がりを感じさせている。開口部の不揃いな煉瓦の内側にガラス棚を差し込み、商品を宙に浮かべるように見せている。その向こうには 四川様式の建築群が垣間見え、土地の歴史と BAO BAO ISSEY MIYAKE のテクノロジーがシームレスに融合する空間を創り出している。さらに、煉瓦に潜むほのかに明滅するランプや、現代的に解釈した行灯をあしらった階段室など、新旧の文脈を織り交ぜて歴史の連なりをさりげなく感じさせ、ここでしか味わえない体験を深めている。
2022
クライアント : 株式会社イッセイミヤケ
写真 : Jonathan Leijonhufvud